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論文題目「多相交流アークの放電現象の解析」

鶴岡洋佑

近年,熱プラズマは産業界における幅広い分野に用いられている.様々な熱プラズマの発生法がある中で,本研究では新規のプラズマ発生技術である多相交流アークに着目した.多相交流アークは,他の熱プラズマと比較して,エネルギー効率が高く,プラズマ体積が大きい,更にプラズマの流速が遅いという特徴から,粉体を効率よく加熱できると考えられる.これらの事から多相交流アークの実用化が期待されるが,多相交流アークの放電現象についての研究は極めて少なく,放電現象の解明が課題となっている.そこで,本研究では多相交流アークの放電現象の理解を深めるため,高速度カメラ,及びオシロスコープを用いた放電現象の解析を行った.

第二章では,2,6,12相での多相交流アークを発生させ,これらの放電の様子を高速度カメラとオシロスコープの同期計測を行い検討した.画像解析結果より,6相,12相放電では,放電パターンが周期的に繰り返されることが確認された.6相放電では,これらの放電パターンを1/6周期(1周期:20 ms),12相放電では1/12周期で繰り返すことが確認された.以上のことより,多相交流アークでは相数に応じた規則正しい周期を有していることが確認された

第三章では,多相交流アークにおける電極近傍のアーク挙動を調べるため,2, 6, 12相放電の電極近傍におけるアーク挙動の観察を行った.結果より,相数の増加に伴い,アークが左右に大きく振れる様子が確認された.これらは多相交流アーク特有の,常に複数のアークが電極間に存在することから,アーク由来の複雑な電磁場が生じ,アークが左右に振れる様子が現れたと考えられた.

第四章では,電極配置を変化することにより放電経路の変化が可能と考え,電極配置の異なる多相交流アークの放電経路の検討を行った.結果より,電極配置を変化することにより放電経路は変化し,電極間の高温領域を自由に制御することができることが分かった.

第五章では,粉体処理に適した効率の良い熱源を検討するため,多相交流アークと燃焼炎を組み合わせたハイブリッドプラズマを用いてガラス原料の溶融化実験を行った.結果よりハイブリッドプラズマを用いることでよりガラス化率が高く,ホウ酸の揮発率が小さい最適なガラス化条件に近づいたという結果が得られた.

以上のことから,本研究により多相交流アークの放電現象についての理解が深まり,今後の実用化が期待されると考えられる.

修士論文の内容は2010年3月14日にテレビ朝日の「マルミセ!百聞一見録」にてテレビ放映されました。
修士論文の内容は2010年10月27日にテレビ東京の「モーニングサテライト」にてテレビ放映されました。

2010年9月 創造エネルギー専攻修士課程中間発表会でPresentaion Awardを受賞しました.受賞対象の研究発表は「Investigation of Discharge Behavior and Stability of Multi-phase AC Arc」です.



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