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論文題目「反応性熱プラズマによる廃イオン交換樹脂の処理」

原子炉一次冷却水の浄化処理に用いられたイオン交換樹脂は、放射性元素を吸着している。この樹脂は放射性廃棄物、かつ難燃性のため、処理施設内に貯蔵されるが、貯蔵場所の確保の困難さから、減溶・安定化処理が求められる。

本研究では、熱プラズマの10,000 K程度の高温に加え、高い反応性に注目した。二酸化炭素を反応性ガスとした熱プラズマを用い、廃樹脂の減容化、放射性核種の酸化・安定化(移行率の低減)を目的とし、イオン交換樹脂および吸着金属の挙動を検討した。反応性ガスに二酸化炭素を用いた理由は、反応雰囲気を制御しやすいためである。

コバルトを吸着させた強酸性陽イオン交換樹脂SKN-1を試料とし、大気圧下で直流プラズマジェットを用いて処理を行った。アーク電流、電圧は200、300 A、25 Vである。プラズマガスにアルゴン18 L/minを、反応性ガスとしては、二酸化炭素9、12、18、27 L/min、酸素18 L/min、空気18 L/minを各々用いた。サンプル量は20 gで行った。また分析方法としては、熱重量分析、赤外吸収スペクトル法による構造解析、X線回折分光、光学顕微鏡を用いた粒径測定、誘導プラズマ発光分析を行った。

コバルトを吸着させたイオン交換樹脂のプラズマ処理による重量変化において、反応性ガスに酸素を用いたときは、最も効率良く減容できた。反応性ガスに二酸化炭素(流量18 L/min)を用いてコバルトを吸着させた樹脂を処理し、赤外吸収スペクトル(FT-IR)法で分析した結果、処理時間40 分までは、スルホン酸基(1030, 1130, 1180, 1230cm-1)は分解されているが、パラジ置換ベンゼン(820 cm-1)、パラジ置換ベンゼンは完全には分解されていないことがわかった。処理後の樹脂をX線回折分析した結果、スルホン酸基に吸着していたCoは脱離し、CoOとしてに廃樹脂中に存在することがわかった。また、誘導プラズマ分光分析を行った結果から、廃樹脂中のCoの保持率を求めた結果、反応性ガスに二酸化炭素を用いたときが、最も保持率が高く、0.996±0.012であった。

反応性ガスに二酸化炭素を用いたときは、他の反応性ガスより重量減少は低いが、コバルトの保持率では最も優れていた。廃棄物処理において、二酸化炭素プラズマを用いることで、温度等の条件によって酸化雰囲気を制御できるため、安定的かつ高速な減容化が可能である。この結果、二酸化炭素プラズマは多くの廃棄物処理に適応できると考えられる。


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