生物工学関連分野

 失われた臓器の機能を回復する医療技術として、ハイブリッド型人工臓器や再生医療が注目されています。こうした医療技術の基盤として、細胞が本来の機能を十分に発揮できる培養技術や大量・高密度培養が達成できるバイオリアクターの設計・開発が必須です。本研究室では、細胞を制御された空間内に高密度に集積することにより自己組織化した細胞組織体(オルガノイド)を形成する独自の培養技術の開発に取り組んできました。写真は肝細胞によって形成されたオルガノイドであり、これまで生体外での機能維持が困難であるとされていた培養肝細胞の5ヶ月にもわたる長期機能維持を達成しました。さらにオルガノイドを高密度に充填した人工肝臓装置の設計・開発を行い、人工肝臓として利用することにより動物実験において肝不全状態からの回復効果を実証しています。
 一方、こうした分野において、臓器細胞の起源となる幹細胞(stem cell)の利用が注目されています。幹細胞を医療現場で用いるためには、大量増幅法と目的細胞への分化誘導法の開発が必須です。本研究室では独自の培養技術やバイオリアクター設計手法を用いて胚性幹細胞や造血幹細胞の体外増幅や分化誘導法の開発についても積極的に取り組み、人工臓器・再生医療分野への展開を図っています。

細胞組織体 (オルガノイド)