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無機マテリアル学会
学術賞 (2005.6)

 

[業績]熱プラズマによる材料プロセッシングの開発

渡辺隆行氏は熱プラズマを用いた材料プロセスの開発に関する研究を行い,特に熱プラズマによるナノ粒子の合成,熱プラズマのモデリング,熱プラズマによる廃棄物処理などの研究の発展に貢献している。以下に同氏の代表的な成果を列挙する。

酸化雰囲気の高周波熱プラズマ中に金属粉体を供給することによって,シリカ,チタニア,アルミナなどのナノ粒子を効率的に合成する方法を研究した。また,シリサイドやホウ化物などのナノ粒子を合成する方法も開発した。特に,ナノ粒子の生成領域にインジェクションガスを導入することにより,ナノ粒子の粒径と収率を制御する方法を見出した。さらに熱プラズマ中におけるナノ粒子の生成過程のモデリング手法を開発し,プラズマ中の核生成過程が重要であることを指摘し,その核生成過程を制御することによってナノ粒子の粒径や組成を制御できることを見出した。

また,同氏は環境問題の解決のための先端基盤技術のひとつとして,熱プラズマによる廃棄物処理技術の開発を行った。従来のプロセスでは処理できない難分解物質を熱プラズマによって処理する方法を開発した。特にオゾン層破壊物質および地球温暖化物質であるフロンやハロンを水プラズマによって分解できることに注目し,分解後に発生する排ガスを固体アルカリ反応材(焼成生石灰あるいは焼成ドロマイト)で処理することによって,フロンやハロンから生成するフッ化物や臭化物を回収する方法を開発した。

以上,同氏の研究はプラズマを用いた新しい材料プロセスの開発に大きく貢献しており,本学会の学術賞に値するものである。