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論文題目「誘導結合型熱プラズマを利用したGEMS模擬粒子の合成」

八木下将史

彗星起源と考えられているCP-IDP(Chondritic Porous Interplanetary Dust Particles)は,太陽系の始原的物質である.CP-IDPは100 μm程度の多孔質粒子であり,炭素物質や結晶質ケイ酸塩および非晶質ケイ酸塩が含まれている.非晶質ケイ酸塩組織はGEMS (glass with embedded metal and sulfides)と呼ばれ,CP-IDPに約50 vol%ほど含まれる.GEMSはサブミクロンサイズの非晶質ケイ酸塩中に,10から50 nmの金属FeNiおよび硫化物が内包されている構造をしており,太陽系の固体物質の原材料と考えられるが,その起源は明らかになっていない.一説には原始太陽系星雲中で非平衡凝縮過程より生成したと考えられており,実験室においてGEMSの生成を再現することができれば,GEMSの起源について手がかりを得ることができる.本研究では誘導結合型熱プラズマを利用した非平衡凝縮プロセスを用いて,GEMS模擬粒子(金属Feを内包する非晶質MgO-SiO2ナノ粒子)の合成を試みた.誘導結合型熱プラズマは高温,超急冷,雰囲気を制御できるといった特徴を持つ.

まず,誘導結合型熱プラズマを用いた非晶質ケイ酸塩合成については,ほとんど報告例がないため,最初にMgO-SiO2非晶質ナノ粒子の合成を検討した.この系はForsteriteが結晶化しやすい系である知られる.実験結果より,MgOとSiO2の混合粉体を熱プラズマ処理して非晶質MgO-SiO2ナノ粒子を得ることができた.しかし,MgO含有量が40 wt. %以上ではForsterite相も生成した.

次に,GEMS模擬粒子の合成を検討した.Fe,MgO,SiO2混合粉体をAr-He熱プラズマ処理することで,金属Feを内包するMgO-SiO2非晶質ナノ粒子を得た.生成物の非晶質ケイ酸塩のサイズおよび金属FeのサイズはGEMSに近く,GEMS生成を誘導結合型熱プラズマ法により再現することができた.

最後に,金属を系統的に変化させたMetal-Silicateナノ粒子の合成実験結果と熱力学的検討および均一核生成論を関連付けることにより,GEMS模擬粒子の生成機構を明らかにした.

本研究では,誘導結合型熱プラズマを利用した非平衡凝縮より,GEMS模擬粒子を合成することができた.実験条件と宇宙環境との詳しい比較や,硫化物を加えた系など,さらに検討を加えることで,GEMSの起源を明らかにできると期待される.

まず,誘導結合型熱プラズマを用いた非晶質ケイ酸塩合成については,ほとんど報告例がないため,最初にMgO-SiO2非晶質ナノ粒子の合成を検討した.この系はForsteriteが結晶化しやすい系である知られる.実験結果より,MgOとSiO2の混合粉体を熱プラズマ処理して非晶質MgO-SiO2ナノ粒子を得ることができた.しかし,MgO含有量が40 wt. %以上ではForsterite相も生成した.


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