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論文題目「高周波熱プラズマによる多ホウ化物ナノ粒子の合成」

高周波熱プラズマを使用して多ホウ化物ナノ粒子の合成を行い,均一核生成温度と熱力学的観点から多ホウ化物ナノ粒子の生成メカニズムについての予測を行うことを目的とした.

本研究では,原料にAlとBの混合粉体を用いてAlB12,SiとBの混合粉体を用いてSiB6,およびYB4とBの混合粉体を用いてYB66の合成を行った.このとき,実験条件としては,原料の組成比やプラズマガスを変化させた.また,Al,Ti,およびBの3つの原料を混合させた系についても実験を行った.これは,原料のBがホウ化物を生成するTiもしくは,多ホウ化物を生成するAlのどちらと優先的に反応するかを調べるために行った.

実験結果より,原料のBの組成比を増加させることでAlB12とYB66の生成が行われやすくなることがわかった.また,インナーガスもしくはキャリアーガスにHeを用いることで多ホウ化物ナノ粒子が生成されやすくなることがわかった.これは,熱伝導率の高いHeがプラズマ中心部に存在することで,沸点の高いBの蒸発が促進され多ホウ化物ナノ粒子の生成につながったからである.一方で,SiB6はほとんど生成されなかった.これは,比較的にギブズの自由エネルギーが低かったためである

Al,Ti,およびBの混合系については,TiとBの反応が優先的に進むことがわかった.これらのメカニズムについて詳しく考察を行うと,核生成温度の観点より,Bが核生成を開始する温度においてTiは液相状態であるため,Bの核に対して凝縮することができる.Alも同様に液相状態であるため,Bの核に対して凝縮することができるが,Bの割合が小さい条件においてほとんどのBがTiと反応してしまう.そのため,Al,Ti,およびBの組成比が1:1:5のような条件ではAlB12は生成されず,TiB2が主に生成する.一方,Bの割合を増加させることで,BはTiと反応するが,過剰にBが存在するためAlとも反応し,AlB12が生成する.

これらの実験結果,熱力学的考察,および核生成温度の考察より,多ホウ化物ナノ粒子の生成過程をモデル化することが出来た.B単体でもプラズマ処理したが,正二十面体のようなBのクラスターは確認されなかった.つまり,AlやYのような多ホウ化物を生成する金属とBが共存することで,Bのクラスターを形成しAlB12やYB66が生成すると考えられる.


研究論文

国際会議

  • Takayuki Watanabe, Yingying Cheng, Jiro Matsuo, and Sooseok Choi: Formation Mechanism of Boron-Rich Compound Nanoparticles in Induction Thermal Plasma Processing, 5th International Conference on Plasma Nanotechnology and Science (2012.3.9 Inuyama).
  • Takayuki Watanabe, Yingying Cheng, Jiro Matsuo, and Sooseok Choi: Formation Mechanism of Metal Boride Nanoparticles in Induction Thermal Plasma Processing, 39th IEEE International Conference on Plasma Science, 7D-7 (2012.7.12 Edinburgh, UK).
  • Sooseok Choi, Jiro Matsuo, and Takayuki Watanabe: Synthesis of AlB12 and YB66 Nanoparticles by RF Induction Thermal Plasmas, Abstracts of 11th Asia-Pacific Conference on Plasma Science and Technology 2-P36 (2012.10.3 Kyoto University).

国内会議