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論文題目「誘導結合型熱プラズマによるアモルファス酸化物ナノ粒子の合成」

小山誠司

本研究では超高温,急冷を特長とする誘導結合型熱プラズマを利用し,Si,Li4SiO4,およびLi4SiO4-Li3BO3を原料として,アモルファス酸化物ナノ粒子の合成を行った.

アモルファスSiO2ナノ粒子の合成では,Si蒸気の酸化反応熱により,Si粉体の蒸発を促進させた.この反応熱を有効に利用することで,SiO2ナノ粒子を容易に合成することができた.

アモルファスLi4SiO4ナノ粒子の合成では,粉体供給量が少なく,プラズマ出力が大きいほど,生成したLi4SiO4ナノ粒子のアモルファス化度は増加した.これは,粉体供給量の減少,あるいは出力上昇に伴い原料の蒸発がプラズマ上部において起こり,その蒸気がプラズマ外へと飛散したことにより急冷の効果が得られたためであると考えられる.プラズマ流に対向する冷却ガスを流した実験では,流量を増加させるほどアモルファス化が進行する傾向が見られた.これは,流量が多いほど,冷却ガスによってプラズマ下流における温度勾配が急になったためである.生成したLi4SiO4ナノ粒子の平均粒径については,粉体供給量が小さく,急冷ガス流量が多い条件ほど粒径は小さくなる傾向が見られた.

アモルファスLi4SiO4-Li3BO3ナノ粒子の合成では,Li4SiO4単体を同条件で処理した場合に比べてアモルファス化度が大きな値をとった.これは熱伝導度が大きなLi3BO3を加えたことにより,低温部において粒子がより均一に冷却されたことが理由として考えられる.

また,LiとSiの均一核生成温度から,Li4SiO4の生成機構を考察した.まず,均一核生成温度が高いSiが核を生成する.そのSiが凝縮によって成長すると同時に,Si酸化物とLi酸化物がSiに対して共凝縮を起こす.このようにしてLi4SiO4が生成すると考えた.

本研究では,生成物のアモルファス化度の向上のために実験条件を変化させて実験を行った.その結果,アモルファス化が困難といわれるLi4SiO4の100%アモルファス化に成功した.誘導結合型熱プラズマを用いたナノ粒子合成法は,ナノサイズの粒子を合成できるだけでなく,高い冷却速度を合わせ持っている.それゆえ他の製法と比較して効率良く急冷することが可能であり,アモルファスナノ粒子の合成において有効な手法であると言える.


国際学会

  • Junya Matsuno, Akira Tsuchiyama, Mahito Yagishita, Seiji Koyama, and Takayuki Watanabe: Origin of GEMS from A Laboratory Experiment, 5129, The 75th Annual Meeting of The Meteoritical Society (2012.8.17 Cairns, Australia).
  • Sooseok Choi, Seiji Koyama, Takayuki Watanabe, and Dongwha Park: Preparation of Amorphous Li4SiO4 Nanoparticles from Crystalline Raw Material by RF Thermal Plasma, Paper ID:419, Proceedings of 21st International Symposium on Plasma Chemistry (2013.8 Cairns, Australia).

国内学会