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論文題目「高周波熱プラズマによるホウ化物ナノ粒子の合成」

伊部 剛

金属ホウ化物は融点、硬度、熱伝導性、電気伝導性が高く、化学的にも安定な化合物である。その中でもLaB6やCeB6などに代表される希土類ホウ化物は、優れた電気伝導性を有する材料として様々な分野へ応用が期待されている。これらをナノ粒子化することにより、赤外線や紫外線などの光を吸収する特性を持つ新しい機能性材料として応用できる。

本研究では、原料として、希土類化合物の中でも比較的安価な酸化物または水酸化物に着目した。これらにホウ素と炭素または炭化ホウ素を加えた混合粉体を高周波熱プラズマ中に供給し、希土類ホウ化物ナノ粒子を合成した。また、希土類ホウ化物ナノ粒子の生成量における、原料中の炭素の影響や生成機構の検討を行った。

実験方法としては、希土類酸化物または水酸化物にホウ素と炭素を加えた混合粉体を原料粉体として用いた。原料粉体をArキャリアガスによりプラズマ中に導入し、プラズマ中での蒸発過程とプラズマ下流での凝縮過程を経てナノ粒子を合成する。また、捕集方法としては水冷コイルを用いた急例条件で行った。

合成したナノ粒子の分析は以下の評価を行った。生成物の同定にX線回折分析を、生成物の組成分析には誘導結合型プラズマ発光分析で評価した。また、捕集したナノ粒子を透過型電子顕微鏡法による観察と粒径測定を行った。

合成されたナノ粒子は個数平均径が約10 nmの球状粒子であった。原料としてLa2O3およびLa(OH)3を用いた場合では、どちらもLaB6ナノ粒子が合成された。また、炭素の還元作用の影響を調べるために、原料中のCの質量分率を変化させて実験を行った。原料中のCの量を増加させることにより、LaB6ナノ粒子の生成量が増加した。原料中のCの質量分率を増加させると、気相中のCの量が増加する。この結果、La2O3がCによって還元される量が増加するために、LaB6の生成量が増加したと考えられる。

粉体供給量による蒸発割合への影響を調べるために、供給量を変化させて実験を行った。供給量を増加させると、蒸発割合が減少する。この結果、気相中のLaとBの割合が減少するために、LaB6ナノ粒子の生成割合は減少した。

プラズマ雰囲気における生成物への影響を調べるために、プラズマガスを変化させて実験を行った。プラズマガスにHeあるいはN2を用いることにより、LaB6ナノ粒子の生成量は増加した。HeあるいはN2をシースガスとして加えることによりパワーを増加させることができるので、蒸発量が増加したためと考えられる。


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