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平成16年度原子核工学専攻優秀論文発表賞

論文題目「反応非平衡2温度モデルによる高周波熱プラズマの数値解析

厚地伸彦

高周波熱プラズマは様々な産業応用に利用されている.例えば,超微粒子の合成や各種廃棄物の処理などがある.熱プラズマは高温熱源として利用できるだけでなく,不活性雰囲気のアルゴンに対して酸素や水素などの反応性ガスを混入させることで酸化雰囲気や還元雰囲気の選択が可能となり,材料プロセスなどに有用である.これらのプラズマプロセスを産業応用で有効に使うためにはシミュレーションによりプラズマの特性を把握することが重要である.そこで,本研究では反応速度と拡散,および電子と重粒子の温度が異なる状態を考慮した反応非平衡2温度モデルによる高周波熱プラズマの数値解析を行い,その特性について検討した.

熱プラズマを解析するにはその物性値を正確に知る必要がある.本研究では輸送係数をChapman-Enskog法で求め,高い次数の推算式を数値計算に組み込んだ.特に電子の寄与が大きい電子の並進熱伝導度や電気伝導度は1次近似計算法とのずれが大きく,高次近似で計算する必要があることがわかった.

本研究はアルゴン‐酸素およびアルゴン‐水素プラズマに関して,局所熱平衡モデルとおよび反応速度と拡散を考慮した反応非平衡1温度モデル,そして反応速度と拡散の考慮に加えて重粒子と電子の温度が異なる反応非平衡2温度モデルの数値解析を行い,各モデル間の比較および非平衡性に関しての考察を行った.従来は酸素や水素は反応速度が速く,局所熱平衡が仮定できると考えられていたが,トーチ壁近傍において化学種の平衡組成および熱平衡が成り立たないことが分かった.

また,反応非平衡1温度モデルにおいて様々なインジェクション方法でアルゴンプラズマ中に酸素を入れたときの数値解析を行い,酸素分子の解離度,化学種の濃度分布および非平衡性について検討を行った.酸素インジェクション領域および壁近傍は非平衡性が強いが,高温部分はほぼ平衡組成が成り立つことが分かった.またインジェクション方法により解離度およびトーチへの熱損失が大きく異なるため,プラズマプロセスに適したインジェクション方法を選択する必要があることが分かった.

 さらに本研究では非平衡を示す指標パラメータとして,拡散速度と反応速度の関係を示す無次元数であるダムケラー数を導入した.ダムケラー数によりアルゴン‐酸素,アルゴン‐水素,アルゴン‐窒素プラズマにおける解離反応と電離反応の非平衡性を評価することができた.


Outstanding Paper Award of Journal of Chemical Engineering of Japan (2007.9)
Numerical Investigation of Local Oxygen Injection Effect on Argon Induction Plasmas Using Chemically Non-Equilibrium Model

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